おしらせ

 これまで店主の体調に異変がない限りは通常営業のつもりでおりましたが、事態は深刻化するいっぽうなので、ひとまず4月いっぱいは不定期営業(もともと不定期ですけど)といたします。かなり悩みましたが、グループで行動される方が多く、店内が急激に混みあう(人同士の距離を保つことができない)という観光地の狭い店特有の問題もあり、特に土日の営業は難しいと思います。

 当面は、オンラインショップの準備と、昨年の骨折のおかげで手付かずになっている在庫置き場の発掘作業と整理とに重点をおいてやっていきたいと思います。みなさまにはご不便をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

ソメイヨシノが咲きはじめたところなんですけどね。

疫病退散

 新型コロナウィルスに対する恐怖とそれに関する連日の報道とで、みなさん心身ともにお疲れのことと思います。わたしもです。子供の頃から見るともなしに見てきた神社のお札の「疫病退散」の文字をこんなにもリアルに感じる日が来るとは思ってもいませんでした。いまはうがいと手洗いと神頼みくらいしかしようがないですよね。

 おかげで美観地区も例年のこの時期と比べるとずいぶんひっそりとしていますが、蟲文庫については当面、これまで通り営業し、店主の体調に僅かでも異変が生じた場合は念のため休業という方針でいきたいと思います。よろしくお願いします。

STANDARD BOOKS 龍膽寺雄

 STANDARD BOOK『龍膽寺雄  焼夷弾を浴びたシャボテン』(平凡社)の挟み込みの栞に「火星とシャボテン人」という文章を書きました。そろそろ書店にも並ぶようですので、ぜひ手に取ってみてください。数年前『シャボテン幻想』(ちくま学芸文庫)の解説に「機会があればぜひ読んでもらいたい」と書いた「焼夷弾を浴びたシャボテン」が表題となった本が、このような、これまで龍膽寺雄という名前すら知らなかったような方々の目にもふれる形で発売され、とても嬉しいです。

 この中の「シャボテン狂の見る夢」というサボテンや多肉植物が夢に出てくるという話も、ふんわりとした多幸感にあふれていて大好きなのですが、「そういえば私はサボテンの夢、無いな……」と思っていた矢先のつい先日、見たこともない不思議な形をした多肉を「えー?なにこれ?」としげしげと眺める夢を見て、なにか「おかげ」をいただいたような気がしました。

ちなみにその「不思議な形の多肉」というのは、ラグビーボールくらいの大きさで松ぼっくりみたいな形の「本体」から、わりあい一般的なエケベリア系統の葉が蔓状に伸びてたくさん垂れ下がっている、というものでした。

この『龍膽寺雄 焼夷弾を浴びたシャボテン』をはじめとしたこのシリーズは、今後少しずつ新刊で入る予定です。入荷第一弾は寺田寅彦、野尻抱影、牧野富太郎、南方熊楠、中西悟堂、多田富雄、龍膽寺雄の予定です。どうぞお楽しみに。

STANDARD BOOK『龍膽寺雄  焼夷弾を浴びたシャボテン』(平凡社)栞執筆:山崎ナオコーラ・田中美穂

入荷しました(2/26更新)

26周年

 おかげさまで蟲文庫は今日で26周年を迎え、27年目となりました。おかげさまでとしか言いようがないのですが、これまで同様、一冊でもよりよい本を、一日でも長く並べていられるよう、一日、一日、こつこつとやっていきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 先週、店をはじめた当初からのお客さんである大阪のOさんの娘さんと息子さんが晴れ着で覗いてくださいました。娘さんは大学卒業、息子さんは成人で、お母さん(Oさんの奥様)の郷里である倉敷の写真館で記念撮影をされたのだそうです。店を移転した頃に、ベビーカーとおんぶひもとで連れられてきていたおふたりが、「まあ!こんなに立派になって」とかつてわたしも親戚のおばさんから言われたような台詞がつい口をついて出そうになりました。ただ、その時は、突然だったこともあり、わわわーと驚き喜んで、近況を伺ったり、自分の足の怪我のことを話したりしたのですが、みなさんがお帰りになったあと、続けているとこんなに幸せなこともあるんだな、とじわじわと感激してきて、そして、歳をとるとほんとに涙もろくなるものだなということを実感しました。

(Oさんご一家については、機会がありましたら『わたしの小さな古本屋』の中の「まだつぶれていません」という話と、文庫版のあとがきを読んでみてください。)

文庫版『わたしの小さな古本屋』の装画である、平岡瞳さんの版画です。

ご近所さんと20年

 駅前から、いまの場所に移転して、今年でちょうど20年になります。店の周囲もここ数年で一気に観光地化しましたが、それでも元々一般の住宅も多い地域で、普段はそれほど交流はないけれど、長年のうちにお互い「あの家(もしくは店)のだれだれさんね」とそれとなく認識しあい、通りすがりに軽く会釈はする、というような間柄の「近所の人」がたくさんいます。特に少し世代が離れている場合は、これまでなかなか会話のきっかけがなかったのですが、このたびの骨折後、営業再開したとたんに、そんな方が次々と覗いては、復帰を喜び激励してくださって、ちょっとびっくりしました。ほとんどの方とは、それが、ほぼ20年来のはじめての会話となったわけなのですが、みなさん、休んでいた3ヶ月間、店の表に貼っていた「店主骨折のため しばらくの間休業いたします」という紙を見て、ずっと心配してくださっていたようです。わたしの親ほどの年齢の方が多いので、手足が不自由になることの辛さ、不便さは他人事ではないのだろうとも思いました。


 そんなこんなで、最近では道端ですれ違うと挨拶をしたり、少し立ち話をしたりするご近所さんがずいぶん増えました。そして、新参者と思っていたわたしも、老舗をのぞけば、まあまあ古いほうになってきたんだな、と思う出来事でもありました。

近所の乙女椿が咲きはじめていました

野鳥趣味

せっかくリニューアルした店番日記ですが、すっかり療養日記の様相です。しかも日々自宅と店との往復だけで精一杯なので、毎度同じようなことばかり書いておりますけれども、ともあれしばらくは「まあなんとかぼちぼちやってるな」というふうな、生あたたかい目で見守っていただけたらと思います。

数年前から急に野鳥に興味が出て、写真に撮ってはあとで種類を調べるというのが趣味になりました。それまでは、ハトとカラスとスズメとサギの仲間くらいしか見分けられなかったというのに、いまや数十メートル先の川の波紋の大きさを見ただけで「あ、いまカイツブリが潜った」とわかるようにまでなっていて、自分のことながら可笑しいです。

鳥が見たいばかりにはじめた徒歩通勤、はじめは体力的にも足の状態からみてもやや無理があったのですが、おかげでだいぶ鍛えられてきました。

カイツブリ。潜水が得意です。

カイツブリは小さな水鳥で、一緒に写っているヒドリガモ(カモの仲間の中ではそれほど大型ではない)の半分くらいのサイズです。

薄皮を

一月も中旬をすぎて、すっかり日常が戻りました。一年でもいちばん静か(ひま)な時期ではありますが、怒濤の年末年始のあいだ棚に上げていたあれこれが一気に押し寄せて、頭の中だけはやけに忙しいという状況です。そういえば、自営業者はそろそろ確定申告ですね。


こないだ、足の様子を心配して尋ねてくださった方に「見た目は数カ月前とたいして変わりませんけど、毎日ちょっとずつは……」といつものようにこたえたら、「ああ、薄皮を剥ぐように?」と返してくださり、「そうそう!それ!」と思いました。そうなんです、相変わらず片方松葉杖をついてよちよち歩いていますが、内側はそんな感じです。

通勤時に重たい望遠レンズを持ち歩けるようにもなりました。

朝日を浴びてうっとりしているカワセミ
朝日を浴びてうっとりしているカワセミ
カワセミの後ろ頭

背中にカイロ

無事に「年末年始休まず営業」期間をおえ、本日は10日ぶりの休日です。毎年、お正月とGWとお盆休みの頃に、こうした機会がありますが、昨年はGWに入る前日に骨折し、もちろん丸々休業。お盆休みは営業再開直後でまだ体力がなく、2〜3日おきに休んだため、このたびの年末年始にようやく「例年どおり」に開けられるようになりました。ほんとうにほっとしています。それでほっと気が緩んで風邪をひかないように、今日は背中にカイロを貼りました。背中にカイロは肩凝りにもいいですね。


下の写真は新しくしたショップカードです。年賀状にも使うつもりで作ったのですが、いろいろと仕事が渋滞していて昨年のうちにはまったく書きはじめられず、元日からあわてて、いただいた年賀状に返信の形で出しているような状態です。そんなこんなで「あれ? 今年は来ないな」と思ってくださる方もあるかもしれませんが、ただ手が回らないだけで他意はありませんので、どうぞご容赦ください。

初詣と古本

あけましておめでとうございます。

こちら山陽地方南部は、うららかといってもいいくらいの好天に恵まれた三が日となりました。曜日の関係で今年のお正月休みは長めなのもあってか、この界隈でいちばん大きな神社のある美観地区周辺もたいへんにぎやかです。そして、そんな大勢の方々の中には、初詣に来て、観光もして、ついでに古本でも買って帰ろうか、という方もそれなりにおられるのは、本当にありがたいことだと思います。なにがどう、とは説明が難しいのですが、やはりなんとなく「お正月ぽい」本が売れるのも楽しいです。


本年もどうぞよろしくお願いいたします。

松葉杖の大晦日

おかげさまで無事いつもように店番をしながら大晦日を迎えることができました。骨折した当初は、まさかお正月になってもまだ片方松葉杖をついていて、自転車にすら乗れないとは思ってもみませんでしたが、非常にゆっくりと、しかし着実に良くなっているのは実感できるので、何をするにもいちいち時間のかかる日々の困難よりは、「これだけ動けて働けたら、まずはじゅうぶん」という、のんびりとした気持ちのほうが大きいです。

7月の終わりに営業再開して以来、心配して訪ねてくださる方がいまもおられ、特にこの年末は、一年ぶりになるような方々から開口一番「大丈夫ですか?」と声をかけていただくことも多くて、ほんとうにありがたいことだと思います。今後もしばらくは週5日程度の不定期営業となりますが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


みなさまも、よいお年をお迎えください。