STANDARD BOOKS 龍膽寺雄

 STANDARD BOOK『龍膽寺雄  焼夷弾を浴びたシャボテン』(平凡社)の挟み込みの栞に「火星とシャボテン人」という文章を書きました。そろそろ書店にも並ぶようですので、ぜひ手に取ってみてください。数年前『シャボテン幻想』(ちくま学芸文庫)の解説に「機会があればぜひ読んでもらいたい」と書いた「焼夷弾を浴びたシャボテン」が表題となった本が、このような、これまで龍膽寺雄という名前すら知らなかったような方々の目にもふれる形で発売され、とても嬉しいです。

 この中の「シャボテン狂の見る夢」というサボテンや多肉植物が夢に出てくるという話も、ふんわりとした多幸感にあふれていて大好きなのですが、「そういえば私はサボテンの夢、無いな……」と思っていた矢先のつい先日、見たこともない不思議な形をした多肉を「えー?なにこれ?」としげしげと眺める夢を見て、なにか「おかげ」をいただいたような気がしました。

ちなみにその「不思議な形の多肉」というのは、ラグビーボールくらいの大きさで松ぼっくりみたいな形の「本体」から、わりあい一般的なエケベリア系統の葉が蔓状に伸びてたくさん垂れ下がっている、というものでした。

この『龍膽寺雄 焼夷弾を浴びたシャボテン』をはじめとしたこのシリーズは、今後少しずつ新刊で入る予定です。入荷第一弾は寺田寅彦、野尻抱影、牧野富太郎、南方熊楠、中西悟堂、多田富雄、龍膽寺雄の予定です。どうぞお楽しみに。

STANDARD BOOK『龍膽寺雄  焼夷弾を浴びたシャボテン』(平凡社)栞執筆:山崎ナオコーラ・田中美穂

入荷しました(2/26更新)

26周年

 おかげさまで蟲文庫は今日で26周年を迎え、27年目となりました。おかげさまでとしか言いようがないのですが、これまで同様、一冊でもよりよい本を、一日でも長く並べていられるよう、一日、一日、こつこつとやっていきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 先週、店をはじめた当初からのお客さんである大阪のOさんの娘さんと息子さんが晴れ着で覗いてくださいました。娘さんは大学卒業、息子さんは成人で、お母さん(Oさんの奥様)の郷里である倉敷の写真館で記念撮影をされたのだそうです。店を移転した頃に、ベビーカーとおんぶひもとで連れられてきていたおふたりが、「まあ!こんなに立派になって」とかつてわたしも親戚のおばさんから言われたような台詞がつい口をついて出そうになりました。ただ、その時は、突然だったこともあり、わわわーと驚き喜んで、近況を伺ったり、自分の足の怪我のことを話したりしたのですが、みなさんがお帰りになったあと、続けているとこんなに幸せなこともあるんだな、とじわじわと感激してきて、そして、歳をとるとほんとに涙もろくなるものだなということを実感しました。

(Oさんご一家については、機会がありましたら『わたしの小さな古本屋』の中の「まだつぶれていません」という話と、文庫版のあとがきを読んでみてください。)

文庫版『わたしの小さな古本屋』の装画である、平岡瞳さんの版画です。