26周年

 おかげさまで蟲文庫は今日で26周年を迎え、27年目となりました。おかげさまでとしか言いようがないのですが、これまで同様、一冊でもよりよい本を、一日でも長く並べていられるよう、一日、一日、こつこつとやっていきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 先週、店をはじめた当初からのお客さんである大阪のOさんの娘さんと息子さんが晴れ着で覗いてくださいました。娘さんは大学卒業、息子さんは成人で、お母さん(Oさんの奥様)の郷里である倉敷の写真館で記念撮影をされたのだそうです。店を移転した頃に、ベビーカーとおんぶひもとで連れられてきていたおふたりが、「まあ!こんなに立派になって」とかつてわたしも親戚のおばさんから言われたような台詞がつい口をついて出そうになりました。ただ、その時は、突然だったこともあり、わわわーと驚き喜んで、近況を伺ったり、自分の足の怪我のことを話したりしたのですが、みなさんがお帰りになったあと、続けているとこんなに幸せなこともあるんだな、とじわじわと感激してきて、そして、歳をとるとほんとに涙もろくなるものだなということを実感しました。

(Oさんご一家については、機会がありましたら『わたしの小さな古本屋』の中の「まだつぶれていません」という話と、文庫版のあとがきを読んでみてください。)

文庫版『わたしの小さな古本屋』の装画である、平岡瞳さんの版画です。