ご近所さんと20年

 駅前から、いまの場所に移転して、今年でちょうど20年になります。店の周囲もここ数年で一気に観光地化しましたが、それでも元々一般の住宅も多い地域で、普段はそれほど交流はないけれど、長年のうちにお互い「あの家(もしくは店)のだれだれさんね」とそれとなく認識しあい、通りすがりに軽く会釈はする、というような間柄の「近所の人」がたくさんいます。特に少し世代が離れている場合は、これまでなかなか会話のきっかけがなかったのですが、このたびの骨折後、営業再開したとたんに、そんな方が次々と覗いては、復帰を喜び激励してくださって、ちょっとびっくりしました。ほとんどの方とは、それが、ほぼ20年来のはじめての会話となったわけなのですが、みなさん、休んでいた3ヶ月間、店の表に貼っていた「店主骨折のため しばらくの間休業いたします」という紙を見て、ずっと心配してくださっていたようです。わたしの親ほどの年齢の方が多いので、手足が不自由になることの辛さ、不便さは他人事ではないのだろうとも思いました。


 そんなこんなで、最近では道端ですれ違うと挨拶をしたり、少し立ち話をしたりするご近所さんがずいぶん増えました。そして、新参者と思っていたわたしも、老舗をのぞけば、まあまあ古いほうになってきたんだな、と思う出来事でもありました。

近所の乙女椿が咲きはじめていました